白い天井~恋愛依存症候群~
「さよなら」


いろんな意味を込めて、アタシは言い捨てた。

足首にリボンを絡ませて結ぶお気に入りのミュールが、今だけは憎らしい。
早くこんな部屋、出たいのに。


「待って!」


アタシの決意が変わらないことを感じたのか、ユウヤの声に切羽詰まった音色が混じった。

それでも、アタシは振り返らない。
絶対に。


ふと。

風が吹いた気がした。


「なっ」


後ろから、ユウヤの腕がアタシを抱きしめる。


「やめてよ!」


どれほどの力がこもっているのか。
ふりほどけないどころか、身じろぎすら、できない。


「ちょっとでイイから。一緒にいて」


耳元での囁きに、鳥肌がたった。


「一人に、しないで」


言う声が、かすかに震える。
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