白い天井~恋愛依存症候群~
…………泣いてる?

まさか。


腕に力をこめ、体をゆする。
なのに、まとわりついたユウヤの腕は外れる気配もない。


「アタシのこと騙して呼びつけといて」
よくそんなこと言えるよね。


そう怒鳴ろうとした口が、凍りついた。

無意識で、ビクリと身震いがでる。


まわされた、ユウヤの手首。


「いてくれるだけでイイから。何も、しないから」


ささやかれ続ける何もかもが、耳に入らない。

覆い被さるように、胸の下で交差した、その手首。


傷だらけの……。


アタシは、目が離せなかった。幾筋も走る、無数の傷。
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