白い天井~恋愛依存症候群~
ドクンッと大きく跳ね上がった心臓が、ドドドと耳元で暴れ始める。

全身を冷たい汗が流れ、ドアを全開にしたというのに、アタシはここから一歩も、動けなかった。


「チサ……っ」


怯えきったユウヤが、アタシを呼ぶ。

応えたいのに……やめさせたいのに、言葉が出ない。


こんな時、なんと言えば……?


「ひっ!やめっ」


「ハルコやめて!」


ゆらりと一歩近づいた影にユウヤが悲鳴をあげ、アタシも、とっさに懇願した。


ちらり。


部屋の中心、影のように黒く長いコートに身を包んだハルコは、一瞬アタシを見ると、またすぐ、視線をユウヤに戻した。


訪問者は……ユウヤの家族では、なかった。


ベッドの前に佇む、ハルコ。


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