白い天井~恋愛依存症候群~
深かったのだろう。くっきりと遺った数本の間を、まだ、生々しく赤い筋が横切る。

切断するように。
あるいは、辿るように。


「チサに捨てられたら、本当に死ぬしかないんだ」


どれくらい、そうして固まっていたのだろう。
ユウヤの言葉に我に返り、アタシは心の底から震えあがった。


アタシが捨てたら……?


嘘じゃない。
ただおもしろがって電話してきたわけじゃあ、ない。

この人は、本当に、死にたいんだ。


アタシたちの間に、絆はない。

だけど、今、ユウヤを生かせるのは、アタシ、だけ。
< 23 / 254 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop