白い天井~恋愛依存症候群~
その能面のような、青白い顔……。
アタシは背中のあたりに寒気を覚えた。

空気が、ピリピリと痛い。

無表情がこんなにも恐ろしく感じられるなんて……。


そして、何より。


ハルコの、手の中。

白熱球の灯りを反射して、光る、モノ。

握られた、狂気。


「落ち着いて……話を、しよう……ね?」


心許ないユウヤの説得を、ハルコは聞いているのだろうか。
アタシからは、淡々とした横顔がほんの少し見えるだけだ。

低い位置に構えられた鋭い果物ナイフは、ほんの、微塵も、ゆるがない。


「なんで……。本気じゃないでしょ…………?
変なこと考えないで、さ……」


たどたどしく言葉を探しながら、アタシも必死に話しかける。
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