白い天井~恋愛依存症候群~
「……いいこと、教えてあげる」


くるりと振り向いたハルコが、奇妙な笑みを見せた。
口元だけの、歪んだ笑い。


「赤ちゃん……ね」

口裂女と、のっぺらぼうを同時に思い出させるような、人間離れした何かが、そこにはある。


「死んじゃったの」


ナイフの切っ先だけはユウヤに向けたまま、ハルコは、アタシを見つめて、ベッドに浅く腰かけた。

涙の流れ続ける瞳は、けれど、ひどく乾き、ささくれている。


「もう、ね……赤ちゃん……二度と、産めなくなったの」


……死んじゃった?

流産、したって、こと……?


知識のないアタシには、よくわからない。
でも、ドラマで見る限り、妊娠してすぐに流産するパターンは珍しくないらしい。


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