白い天井~恋愛依存症候群~
「……眠るとね……毎日毎日……赤ちゃんがね、呼ぶの」


ブラックホールのように暗いもので、ハルコはできているようだった。


怒り。

絶望。

嫉妬。


ない交ぜになったそれらのものが人型に詰められている、そんな感じ。

アタシの怒りも、いつの間にか、ハルコに吸い込まれて、消えていた。


「保健の教科書とかに載ってたでしょ?胎児の写真。あの子が『ママ助けて』って。
…………わかる?この気持ち」


わかるわけが、ない。
できることなら一生、わかりたくも、ない。


すでにハルコは、アタシの知るハルコじゃなかった。



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