白い天井~恋愛依存症候群~
「一緒に、逝ってあげなくちゃ……。
せめて……それが、母親、でしょう?」


長く、遅く時間が流れる。

アタシは、ハルコがこちらを向いているこの隙に、ユウヤがなんとか後ろから取り押さえてくれることを願っていた。

ナイフさえ、奪ってしまえば……。


「新しいパパも一緒に逝ってくれれば、他の子たちだって、きっと喜ぶ……」


けれど、ユウヤは動かなかった。
今や蒼白になって、震えている。


「元々、死にたがってたし……ちょうどイイ、よね?」


白刃がギラリ、と輝いた。


ユウヤは、声も出ないらしい。
憐れになるほど小さく、そして、情けない。

アタシは、叫び出したい衝動を必死で抑えた。


「…………ちょうどイイ?
アンタ……何様?」


重たい話しだ、と思う。
でも、それと、ユウヤの命は、関係ない。


結局、ハルコはさ……。


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