白い天井~恋愛依存症候群~
お世辞にも、アタシは人権なんかを気にするような立派な人間じゃあない。
それに、誰かに説教できるほど、正しく生きてるわけでもない。
現に今、ハルコの苦しみを知りもせずに、こうして責めている。
人のことを言う資格は、ない。


なのに、なぜか、無性に腹立たしい。

それでもやはり、許し難い。


「…………チサ……」


たしなめるように、ユウヤがアタシを小さく呼ぶ。

刺激するな。

そう言いたいのだろう。
確かに、切れ味の良さそうな刃だ。


「できることなら、アタシがアンタを刺しちゃいたいよ。恨みもあるしさ。
でも、しない。
ハルコの望むようになんてしてやりたくないし、アンタなんかのために前科持ちになりたくない」


アタシだって、刺されるのはごめんだ。
もちろん、ユウヤを刺されるのも、嫌。

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