白い天井~恋愛依存症候群~
普段なら、変態の一言で終わらせるところだけれど、あの傷が……傷から滲む孤独感が、アタシの口を閉ざす。


この人、いったい、何を抱えてるんだろう。


「ほら。ソファー、戻ろう?」


微かに頷く気配があり、腕がとかれる。
アタシは、履きかけていたミュールを脱いだ。

今、逃げてしまうことは簡単だ。
でも、それは、できない。


静かに待っていたユウヤが、おもむろにアタシの手を握り、部屋へと誘った。
つながれた右の手首に傷はない。

暖かな、男の人にしては細い指。


「座って」


そして、自分も、隣に腰をおろす。


戻って、きちゃった……。
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