白い天井~恋愛依存症候群~
「チサ……このバカ……」


声をつまらせ、片手で口元をピシリと抑えた。


「まったく……心配させて……。
今お医者さん呼んでくるから待ってなさいね」


……医者?


慌ただしく出て行く母の背を眺めながら、考える。

相変わらず、枕元では嬉しそうにアタシを見つめる彼の涙顔。


…………ここ……。


真上を向けば、染み一つない、白い天井と生活感のない蛍光灯。


……病院?


「……ホント、良かったなぁ。生きてて……」


感極まったような彼の言葉に寝返りをうとうとすると、背中がズキリとひどく痛んだ。

背中だけじゃあない。
肩や、腕も。

深い場所の、鋭い痛み。


あまりの痛みに、顔をしかめ、動くのを諦めた。

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