最後に初めまして。
古都は俺の態度に気も止めずにポットのお湯でコーヒーを入れていた。


「誰か来るのか?」

『ううん…コーヒーの香りでもどうかなって思ってね。』

「飲みたくなるって。」

『あのね…私、登に伝えないけない事があるの?聞いてくれる?』


哀しいブラウン色の瞳をして古都が俺を見つめて来た。
正直…怖くて聞きたくなかった。

触れてはいけない事に触れると古都との関係も終わりそうな気がして仕方なかったが、このまま離れるのはもっと嫌で古都の言葉に耳を傾けていた。


『私の体は…間質性肺炎って病気なの。』

「間質性…肺炎?」

『うん。難しい病気なんだけどそれに私…体が弱くて…。』

「それって…治るんだよな?大丈夫なんだよな?なぁ…古都。」


古都は涙をブラウン色の瞳にいっぱい溜めて俺を見つめていた。


『何か…ね。私…と合う…いない…から無理……。もう…ぐすっ。』


古都は涙を堪えられなくて俯いて泣いていたがすぐに顔を上げまた俺の瞳を真直ぐに見つめた。


『私…後もって一年って…言われてる。』

「そ…そんな、バカな事あるはず…ないだろ?」

『聞いた時…ショックでね…。そんな時に登に出逢ったんだよ。』

「他の病院とか、何か手はあるんじゃないか?海外にだって…――。」

『お願いだから聞いて!私の…話を…最後まで聞いて…お願い…。』


古都は叫びにも似た声で俺の言葉をかき消し悲痛にも似た表情で話出していた。
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