最後に初めまして。
頬から流れる涙を拭きもせずに泣いていた。

医者と家族から告知を受けた古都はその場を飛び出して気が付いたら待合室に座っていた。

そこに俺が仕事でやって来た。


「○△薬品の高瀬登と言いますが○○先生はお見えになられますか?」


受付けで断られ帰ろうと外に出るとそこに一人で泣いていた女の子がいた。


「お嬢ちゃん名前は?」

「ママはどうしたの?」

「よし、お兄ちゃんが一緒に探してあげる。」


そう言って女の子を抱き上げ病院内に戻って来た。
大きな声で女の子のママを呼び看護士さん達に怒られても続けていた。


『受付に言って呼んで貰ったら早いですよ』

「子供って待ってる時が一番不安で怖いもんなんですよ。だから自分で探させるのがいいと思うのでそのお手伝いです。」

『そうなんですか?』

「止まって不安になるより進んだ方が楽しいじゃないですか?」


そう古都に言って俺は女の子とママを探していたらしい。


それが俺と古都の出逢いだった。

古都は俺のその言葉が自分に言ってる気がして前向きに受け止める決意をしてから、俺に逢いたくて探していた。


『それで登とあの店で逢ったんだよね。私、ほとんど外に出た事なかっから自分の行動なのにすごい信じれなかったの。変だよね?…えへっ。』


舌を出し明るく振る舞う古都の顔は愛しくて堪らなかった。
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