最後に初めまして。
雨の降り頻る中で話も出来ないとヒロは俺と古都を連れ俺の部屋に帰って来た。

古都は体を拭いた後に俺達に熱いコーヒーを入れていた。

ヒロも俺も無言だった。

体が温まって来た頃ヒロは部屋を出ようとしていた。


『取りあえず古都ちゃんとしっかり話し合え、俺の話はその後だ。車で待ってるから連絡しろ。』


俺は古都と向かい合い何を言ったらいいのかさえ分からなかった。


『どうしてこんな事したの？私…話さなかった方が良かったのかな？』

「…分からない。ただ…古都がいなくなるなんて…嫌で堪らない。」


俺の正直な気持ちに古都は真直ぐ瞳を見つめて強い口調で話し出した。


『私も登と離れるのなんて嫌に決まってる。死ぬのは私なのよ。でもね…登との思い出があるから…今、登がいるから私は残りの日々を生きて行けるのよ。』


俺は古都に何も言ってあげれなかった。
言葉一つ一つが軽く嘘に聞こえる気がして怖かったのだ。

それほど古都のブラウン色の瞳は死を覚悟した瞳だった。


『前に言ったの覚えてるよね？登が私の事覚えていたら私はずっと登の中で生きて行けるの。登の忘れられない思い出を私の思い出で埋め尽くして欲しいの。』

「俺に古都の事を思い出して毎日泣けって言ってるのか？」


―― ﾊﾞｼｯ｡――


古都は真っ赤な顔をして俺の頬をひっば叩いた。
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