最後に初めまして。
まるで世界に二人だけしかいないかの様に時間は流れて行く。

古都の髪や瞳が、指や体が…俺の中に溶けて行く。

全てが愛しく、全てが愛らしい古都。

俺の中で何かが弾けていた。

優しいキスをどれだけしたのか分からないが古都はベッドで眠っていた。

俺は寝顔に優しくキスをして起こさないように服を着た。

古都と愛し合った事と酒が抜けた為、腹部の傷が開き激痛が走っていた。

古都に知られるのがマズいと思ったのと確かめたい事があり内緒で部屋を出た。

イライラと待ちくたびれるヒロがそこにいた。


「悪い…待たせたな。」

『遅い過ぎる…お前血が出て…――。』

「それは後回しだ。頼みがある。聞いてくれるか?」


俺の顔と言葉から何かを悟ったのかヒロはニャっと笑みをこぼし車を出した。


『元の登に戻ったな。心配かけた分貸しな。』

「ああ…。お前に貸し作るなんて俺もまだまだだな。」


俺はヒロに古都の体の事と俺の過去の事を手短に話した。

流石に驚きは隠せなかったみたいだが俺の落ち着きにヒロも黙って聞いていた。

とある場所で俺はヒロに車を止めさせた。


『ここは?』

「たぶんここが全ての始まりの場所さ。」


俺はそこでヒロから煙草も貰い火を点けた。

目を閉じてゆっくりと思い出す…よみがえる記憶を繋いではまた思い出していた。
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