最後に初めまして。

決 断

車に乗込むと大きく息を吐いた。

緊張しているのが自分でも良く分かっていた。
キーを回す指も小刻みにに震えている。

震える指で煙草を吸い気持ちを落ち着かせる。

そして俺は人生にとって一番大きな決断をして車を出した。


途中でケーキと花束を買い30分程でその場所に着いた。
門構えがしっかりしていて家も大きい。
品の良さが漂うようだ。

呼鈴を押す手が震えて上手く押せない。

こんなにも緊張するなんて思っても見なかった。


「冷静でクールに…それが高瀬登だろ？」


もう一度気合いを入れ直し呼鈴を押した。


『はーい、どちら様？』


インターホン越しに上品な声が聞こえて来た。


「高瀬と言います。大切なお話があってお伺いしました。」


門を開け後戻り出来ない世界へ足を踏み入れる。

家の中に案内されると緊張が増し細かい物が目に入らない程になっていた。

応接間に通された。
そこには賞状やら豪華な壺等が並んでいた。


アイツ…こんなに立派な所に住んでいたのか？


しばらくすると風貌の良い男が入って来た。


『君が高瀬君かね。話は聞いているが今日は何か用かね？』

「はい。大事な話で来ました。実は…。」


俺は相手の目を見つめ直し言いかけた言葉の続きを話した。


「お嬢さんと結婚させて頂きたくお願いに来ました。」


これが俺の出した初めの決断だった。
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