最後に初めまして。
病院の玄関口まで来た時に病室の窓から外を眺める古都を見付けた。

遠くを見つめ哀しく見つめる瞳の先には何があるのだろうか?

自由に飛び回る鳥達を羨ましく眺めているのだろうか?

あの時と同じ様に…。

俺は足を止めその光景を見つめていたが父親に促されて病室に向った。

病室に入る俺を見付けて古都はびっくりしていたがやがて恥じらい頬を染めて俯いていた。

まるで初めての夜の様に照れる古都に愛しさを感じていた。

ご両親に頼んでしばらく古都と二人で話をさせて貰えた。

そこには久し振りの古都がいた。


『びっくりしちゃった。何か照れるね。』

「元気にしてたか?」

『うん。登は?』

「ああ…元気だよ。いつも古都の事ばかり考えてたけどね。」

『私も登に逢いたかった。でも…こんな姿見せたくなかったの。痩せ過ぎて全然可愛くないし。』

「古都は今でも十分可愛いよ。」


そう言うと古都は俺に抱き付いて来た。

その体は以前とは別人の様に痩せていてキツく抱き締めてたら壊れるかと思える程だった。


『今日はどうしたの?どうして両親と来たの?』

「古都…大事な話があるから真剣に聞いて欲しい。分かったか。」

『大事な話って何?』

「古都、俺のお嫁さんになってくれないか?」


古都は声も出せない程驚いていた。

頬を染めて照れた様に微笑んだ後、哀しい顔になっていった。
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