最後に初めまして。
久実に逢ったのは昔話をする為だけじゃなかった。

古都についても聞きたい事があったからだ。


『倉木さん以前よりずっと明るくなったのはのーくんのおかげなのね。』

「俺はたいした事なんてしてないさ。それよりどんな具合なんだ。」

『良くはないよ。ただ好きな人の話をする時はすごく幸せそうだった。のーくんは初恋の人なんでしょ?良く言ってたよ。』

「さぁな。でもきっと良くなるさ。でも俺の事良く分かったな?離れた時まだ小さかったよな?」

『へへっ…。実は…これなーんだ?』

「あっ、俺の写真。」


久実は一度母親と逢っていたのだと言う。

母親は泣いて謝るだけで何も話せかったらしがその時母親が持ってた俺の高校時代の写真を譲って貰ったのだと言う。

母親が俺の写真を持っていたのか…。

もう驚きはしなかった。古都が言うように俺は愛されていたのだから。

久実に俺の連絡先を教えて古都の事をお願いした。


『羨ましいな。のーくんにそんなにまで愛されて…やけちゃうな。』


久実はそう言って去って行った。

久実もまた母親の愛情を知らずに生きて来たと言う事か。


古都と出逢ってから色々教えられて来た。

母親の事も過去の事も、妹にまで逢わせて貰える事が出来た。

俺の人生はたぶん…
アイツを中心に回っているのかも知れない。

そんな風に思えて来る程に俺は変わって行っている。
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