最後に初めまして。
捲し立てるように、俺はヒロに突っ込んで聞いていた。


「いつ逢った?…何処で?何を話した?一体誰なんだ?」

『ち、ちょっと落ち着けよ。急に変なヤツだな。でも、誰?って、どう言う意味だ?』

「――… 悪い。」

俺は今日、会社にかかって来た電話の相手が倉木と言う知らない名前だと説明した。


『マジで知らないのか?すごく可愛いんだけど、…何となくヤバい感じがするんだよ。』


ヒロの話だとこうだ。

ヒロの会社に電話があり倉木と名乗る女に呼び出された。

ヒロがそこに行くと、居たのは色白で綺麗な髪の色と、瞳の色が印象的な女性。

日本人の持つ独特な雰囲気とはかけ離れた感じだった。

その彼女はいきなり俺につ色々聞いて来た。

仕事、遊び場所、そして恋人の事を…。


ヒロは本人に聞けば良いと言うと、真直ぐな目で返事をしてヒロの前から消えたらしい。


『なぁ、登。俺の勘なんだけど…――。』


ヒロの勘が当たった事は今までにない。

必死に話すヒロの言葉は俺の頭には届かず、別の事を考えていた。


髪と目の色が印象的な女性…日本人とは違う雰囲気の倉木?


もう一度、断片的な記憶の糸を繋ぎ合わせる。

俺の過去から徐々に思い出されて行くその記憶。

思い出さば思い出す程俺は信じられない気持ちで埋め尽くされて行く。

何故なら、それは絶対に有得ない事だった。
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