最後に初めまして。
時計を見るともう日付は変わっていて、周りも静かになっている事に気付いた。


「古都、時間は大丈夫なのか?そう言えば、さっき抜出して来たって言ってなかったか?」

『うん…もう少し一緒にいたいな。ダメ…ですか?』

「俺は大丈夫だけど…なら、もう少しだけな。」

『はい。あの、登…は、私と同じ名前の人が好きだったんですよね?どんな人なんです?』

「ああ…初恋の話な。」

『はい。聞きたい。』

「たいした話じゃないさ。」

『私と似てます?』

「少し違うかな?それよりさっきから敬語使ってるやろ?」

『あっ、ごめん…ね。』


そう…。
初恋の彼女は髪も瞳の色も違っていた。

雰囲気は似てたのかもしれないが、初恋の彼女は明るく太陽みたいに輝いていた。

向こうが太陽だとしたら古都は何処か寂しげで柔らかい妖しい光を放つ月と言った感じだな。

なのに何故、初めはあんなにも動揺してしまったのか不思議だ。


「初恋の彼女と初めて逢ったのは、病院の横の空地だよ。」

『病院の横の空地?』

「そう…――。」


あれは…。
学校帰りに良く通る道。確か、そこで見かけた。

病院の窓からその子は外を気持ち良さそうに眺めていた。

誰かのお見舞いなのか彼女自信が通ってたのか分からないが、良く逢うようになった。

それが初恋の始まりだった。
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