最後に初めまして。
俺の母親は4度の再婚を経験していた。

女の性に正直に行き、弱さを酒で誤魔化し、死んで行った哀れな女だ。

そんな俺には兄妹と呼べれないかもしれないが、兄と妹がいる。

3歳年上の兄は1人目の男の子供で、残念ながら顔さえ知らない。

俺が2人目の男の子供だった。

そして3人目の男の子供が、4歳年下の妹。

優しく明るい妹とは一緒に暮らしてたが、妹が小学2年の時に離れて以来逢ってない。

風の噂で看護士になったと聞いた時には、妹らしいと感心した。

でも、妹の父親は最低の中でも最低な奴だった…――。


徐に、煙草に手を伸しゆっくり火を点ける。

ゆらゆらと舞う煙が、まるで走馬灯のように過去の記憶を蘇らせる。


『やめて、やめて…下さい。この子には手を出さないで!』

『うるさい!お前は黙ってろ!!お前のその目が嫌いなんだ!このっ!』

―― ドカッ、バシッ!


俺の目が嫌いだと言うあの男に、意味もなく殴られ続けて日々を過ごしていた。

どんな時でも幼い俺は、謝る事しか術を知らなかった。


あの男は、母親と喧嘩をする度に俺に当たる。

今思えばただ、俺を殴りたいだけなのかとさえ思えたほどだ。

憎しみと殺意…――。


いつしかそんな物を心に抱き、ただ毎日を怯えながら過ごしていた。
自分の感情を殺しながら直隠しにして生き延びていた。
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