最後に初めまして。
古都は周りを見渡し、俺の気持ちなんてお構いなしと言った感じで乗る順番を決めていた。


『あれっ。初めはあれにしょっ。』


古都の指差す方向には、一団と長蛇の列が並ぶ人気のコースターだった。


「あれからかぁ?」

『そうです。早くぅ。』
「なぁ、古都。もしかして遊園地初めて?」

『そうですよ。だから今日はすごく楽しみなんです。早く行きましょ。』


俺を引っ張る手にも力が入っていた。

列の一番後に並ぶとちびの古都は背伸びをして先頭を探してた。


「古都、身長いくつ?」

『147…登は大きいよね?先頭見える?』

「178はあるからな見えるけど…。」


やれやれ…。

正直な俺の気持ちだったが、その表情に気付いた古都がいた。


『今、楽しくない顔してますぅ。』

「いや…そ、そんな事ないぞ。」

『登って嘘吐くの下手だですよね?顔に書いてありますよ。』

「それは…良い事だろ?」

『どうかな?でも今は楽しむ事が優先です。』

「…分かりました!」


敬礼のポーズでおちゃらけて見ると、またとびっきりの笑顔を返してくれた。

俺達はコースターの後も次から次へと古都に引きずられるように乗っていた。


『えっと、次は、何にします?』

「ちっと待て、そろそろお昼にしないか?」

『…はい!』


古都は、先程俺がしたように敬礼をしながら返事した。
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