最後に初めまして。
古都がいるはずの場所に人が集まっている事に気付き、それが容易ではない雰囲気だと分かった。


「マジかよ!」


慌てて駆け寄り、人込みをかき分け進んだ。

古都が青白い顔をして苦しむ姿が目の前に飛込んで来た。


「おいっ、古都。どうした?古都ぉ?」

『…ごめっ、だ、だいじょ…ぶだか…ら。』

「どこか痛いんか?なぁ、古都ぉ?」

――…汗?
冷や汗なのか?
それにしてもすごい汗の量だな…。


周りを見回し、近くにいた女性に声をかけた。


「すいません。少し見てて下さいっ。」

『えっ?あのちょ…。』


返事を聞く前に俺は走り出していた。

近くの自販機で冷たい飲料水を買う為に財布を出し、小銭入れに指を突っ込んだ。

かなりパニクっていたのかなかなか小銭が出て来なかった。

――…チャリン…チャリン…。


「チッ、慌てるな。冷静になれ、登!!」


自分に言い聞かせるように呟いた。


――… ガシャン。――

飲料水を取り出し急いで古都の所に戻る。

また人込みをかき分け古都に近付いた。

肩を抱き上げ飲料水のフタを取り、そっと古都の唇に近付けた。

――…ゴクッ、ゴクッ。――


「古都?聞こえるか?古都っ。頼むから目を開けてくれっ。なっ。」


叫びにも似た言葉に、うっすらと瞳を開けた古都は俺の手を強く握り締めていた。
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