最後に初めまして。
俺は医務室まで運ぶ為、抱き上げた時に古都は目を覚ました。


『の…登。大丈夫だから…。』

「何が大丈夫なんだよ。こんな状態でッ。」

『…ごめんね。ハンカチあるから…濡らして来て…くれる?』

「ハンカチ?ポケットか?」

『……うん。』


俺は古都をそっと下に降ろし、Gパンのポケットを探りハンカチを見付けた。


「待ってろよ!すぐ戻るからな。」

『ご…めん…ね。』

「しゃべんなくても、いいからっ!」


俺は周りを見渡し洗面所を探していた。

なかなか見付からない…イラつきながら近くの売店に駆込んだ。


「ハァハァ…。すみませ…。水貸して下さい。」


ハンカチに水を含ませてまた古都の元まで駆け戻った。

軽く絞ったハンカチでそっと古都の額から首筋までの汗を拭き取って行く。


『…登、ありがとね。』

「分かってるから…。」


微かに聞き取れる声で話す古都の顔色も先程よりはマシになっていた。


「少しは楽になったか?今直ぐ病院に連れてってやるからな。」

『ううん…登の家がいい。お願い…だから。』

「…分かった。」

『迷惑かけて、ごめんなさい…。』

「そんな事はいいから、気にするな。」


謝るだけの古都の言葉に黙ってうなずき、俺は古都を背中におぶってまばらになって来た人込みを後にして駐車場までと急いだ。
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