最後に初めまして。
背中から伝わる古都の体重の軽さに俺は驚いていた。

抱き上げた時には慌てていて気が付かなかったが今ならはっきり分かる。


普通…こんなに軽いものなのか?


俺の心には何か大きな不安のような物が広がって行った。


『重く…ない?ごめん…なさい。折角の…デートなのに…。』

「気にするな。デートなんて、またいつでも出来るだろ?」

『う…ん……。』

「なぁ、古都…お前飯ちゃんと食べてるか?」

『―――……。』

「古都?…おいっ?」


耳元から微かに、寝息のような声が聞こえて来た。


「取りあえず息はしてるみたいだな…。」


車の助手席を倒し、そこに静かに寝かせ古都の顔色を覗き込んだ。

顔色もほぼ戻り冷や汗も引いていた。


「ふぅ…。なんとか落ち着いてくれたみたいだな…。」


俺は安堵からかその場で崩れるように尻もちをついてしまった。

俺も気持ちを落ち着かせる為に、車の外で煙草をくわえ火を点けた。

血色の良くなる古都の顔を見ながら煙を吐き出す。

あれは何だったんだろう…。

ただの貧血とは少し違うような気もするが…。

俺の思い過ごしであれば良いのだが…。

どっちにしろ古都が起きてからじゃないと何も出来ないな。

俺は運転席に乗込みエンジンかけて走り出した。
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