最後に初めまして。
1時間もしないうちにヒロが荷物を抱えて家に来た。


『ほいよ、頼まれた品。それで、これは俺からの差し入れ。』


そう言うとヒロは缶ビールを差し出した。


「ありがとな。」

『いいよ別に。』

「ヒロも食べて行くだろ？飯食ったのか？」

『お邪魔じゃないか？』
「アホかっ、お前は。」


ニヤけた顔して言うヒロとのやり取りが何もなかったかのような錯覚を起させる。

俺は缶ビールを片手にキッチンに立ち料理を始めていた。


『いつ見ても、手際がいいよな。俺の嫁さんにしたいぐらいだ。』

「ヒロが旦那なんて苦労が絶えんからお断りさせて貰うわ。」

『それはそうかもな。あははは…。』


『うっ…う～ん…。』

『やっと、お姫様のお目覚めか？』

「！？。冗談言ってる場合と違うやろ！」


俺は料理の手を止め、古都の眠っていたベッドまで駆け寄った。


「大丈夫か？古都。」

『…登。ごめん…。私…ずっと寝てたの？』

「そのままでいいから起きるな。」

『ごめんなさい。貧血で…迷惑かけちゃって。』

「もう大丈夫だからそんなに謝るな。」

『…はい。あっ、私、あの……。』

「どうした？…どっか痛いのか？」

『私、お腹…空いた。』

『ぶっ、あっはっはは…。』


呆れ果てた俺の後で、ヒロの笑い声だけが部屋に響いていた。
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