最後に初めまして。
シャワーを終え、少し楽な気分になった俺は、携帯の着信履歴に気付いた。

RRRR...RRRR...RR。


「もしもし…、ヒロ?」

『ああ…、 登か?』

「何だった?電話したやろ?」

『夜、暇してるだろ?いつものとこ、行こうぜ。』

「ああ、分かった。後で連絡するわ。」

『OK。じゃーな。』


電話相手は、博彦(ひろひこ)26歳B型。
唯一親友と呼べる元同級生で、みんなからはヒロって呼ばれてる。典型的なB型男だ。

ヒロとの話が終わり、携帯を置こうとしたその時、着信音が鳴った。

――… 真夕美だ。

真夕美(まゆみ)20歳彼氏無しA型。男を縛るタイプの彼女は少し苦手だった。

一瞬迷ったが電話を取る事にした。


『登ぅ―?出るの遅い!誰か居るんでしょう?』

「いや…今はいない。」

『本当ぉ~。なら今から遊びに行ってもいい?友達誰もつかま…――。』

「悪い…ちょうど出るとこなんだ。」


俺はとっさに嘘を吐いた。
今、彼女の話を聞く気分じゃなかったからだ。


『ええー。もうぉ~ 分かったわ。じゃあ、また今度……あっ、この言葉、嫌いだったよね?ごめんね。またね。』

「ああ…。じゃあな。」


母親が俺を捨てた時、最後に使った言葉が『また、今度ね。』だった。

それ以来この言葉を嫌い使わなくなった。
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