最後に初めまして。
古都がその気になればすごい小悪魔になれると俺は思った。

普段から女性に物を贈るなんてしない俺に、買わせる辺りたいしたもんだと、納得していたからである。


『ありがとう。すごく嬉しいです。一生大切にします。』

「そんな大層な物じゃないから…いいよ。」


古都なら本当に一生持ってそうな気がするのは俺だけだろうか?


『でも…私は登に何をあげればいいのかな?』

「ん?ああ…もう貰ったからいらないよ。」

『えっ?何もあげてませんよ。』

「それは…古都の嬉しそうな笑顔。」

『………――――。』


古都は頬を染めると言うより赤面して俯いてしまった。

普通の彼女なら『誰にでも言ってるでしょう』とか『上手いんだから』みたいなリアクションがあるはずなんだが…。

逆に、古都みたいにされるとこっちまで、恥ずかしくなって来るから不思議だ。


「古都…次は食材を買いに行くよ。」

『―――…はい。』


この雰囲気は疲れるな。これからは言葉を選ばなければ…。


「さて次は肉か…。」

『何か…新婚さんみたいですね?』

「旦那が食材選んで奥さんが付いてくる新婚ってどうなのかなぁ?」

『えへっ。変ですよね。いいですよぉ。料理上手くなりますからっ。』


スネた時は頬が膨むのも古都の癖なんだろうな。

古都は幼いままで成長が止まってるかのような表現なんだと知った。
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