最後に初めまして。
大まかな物は買い揃えたので一度家に戻る事にした。

古都は常にネックレスを触っては一人で照れたり微笑んだりしていた。


「ぶっ、くっくく…。」

『な、何ですぅ?』

「くっくく…悪い。」

『一人で笑ってずるいです。私、どっか変?』

「とっても変。それ、そんなに気に入った?」

『はい。登に買って貰ったから…初めてです。』

「そこまで喜んで貰えるとこっちも嬉しいよ。」

『…えっと…はい。』


古都は俯いてまた固まってしまった。

まるで中学生みたいな反応がとても面白く、とても新鮮に感じていた。


「明日早いからこのまま送るよ。いいかな?」

『あっ、昨日の所で。』


昨日古都を降ろした場所まで走らせた。


「朝早いから明日ここまで迎えに来るわ。」

『ありがとう。あの…いえ…何でもないです。』

「古都…変だぞ?まぁいいや、寝坊するなよ。」

『えっと…少し、め…目を閉じて下さい。』

「目?…これでいい?」

――― チュッ ―――


『…おやすみです。』


古都は逃げるように車を降りて駆け出した。

俺は不意を突かれたと言うよりは古都の行動が信じられなくてしかたがなかった。

中学生並みの古都が大胆と言うか…
たぶん今頃赤面して後悔してそうだな。

煙草を吸いながら古都の唇の感触を思い出していた。
< 58 / 125 >

この作品をシェア

pagetop