最後に初めまして。
長野県の白樺に囲まれた湖の観光地に百合さんの別荘はあった。


『そこを右に入った所にあります。でもかなり使ってないから心配。』

「この時期にタダで泊れるだけで感謝ですよ。あれじゃないですか?」

『うわっ、すごーい。』


それは白樺の木々に囲まれた中にひっそりと建っている洋館だった。

建物の外見から彼女のお嬢様度が容易に分かる程だった。

田渕 百合(ゆり)23歳A型。貿易会社の経営者を父親に持つお嬢様。

父親は理解があり彼女の好きな事をやらせて貰えてる羨ましいご身分だ。


「ヒロ、お前ら一緒になったら毎年ここ予約しとくわな。」

『なら私もぉー。』

『お前ら夫婦漫才か!』

『うふふ…。さぁ、中に入りましょ?』


百合さんの案内で中に入ってまた驚いた。
テレビで見た事あるような家具や絵やら…。


『お部屋三部屋しかないんですけど…どうしましょう?』

『男女別…――。』

「カップル同士でいいじゃない?」


俺の一言で俺以外の奴等は頬を染めていた。

わざわざ百合さんも聞くって事は期待していた証だし、ヒロはこっちが動いてあげなければ無理だろうしな。

ただ一つ問題があるとすれば古都だった。

俺の想像以上の行動を起すからな…。

何一つ淡い期待を持ってない俺の心を乱されないようにしなくては…。
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