最後に初めまして。
固まる三人を横目に俺は百合さんに聞いた。


「俺と古都はどの部屋を使ったらいいかな?」

『あっ、案内しますわ。こちらです。』

「古都、荷物を置きに行くぞ。荷物はこれか?」

『……はい。』


俺は古都の荷物を持ち二階の奥の部屋に案内された。

広々とした室内にはセミダブルのベッドが二つにトイレと浴槽まで付いていた。


「まるでホテルだな。」

『少ししたらお茶にしませんか?呼びに来ますわ。』

「そうですね。お願いします。」


そう言葉を交わして部屋に入った。
古都は終止無言で俯いていて部屋に入ってもドアの近くで立っているだけだった。

これは少し刺激が強過ぎたかな?


「古都?座れば?」


静かにうなずく古都のブラウン色の瞳を見つめながら俺は言葉をかけた。


「古都、安心しな。古都が嫌がる事は何一つ、俺はしないからな。」

『あの…嫌とかじゃなくて…恥ずかしくて、心の…準備が…。』

「くっくく…、わっははは……。」


キョトンとする古都にヒロ達の為にこの部屋割をした事を説明した。


『もっと早く言ってくれれば…どきどきして、損したじゃないですか。』

「…悪い。でもずっとすごい顔してたぞ。」

『それは…幸せな顔なんです。きっと…。』


そう言っていつものように頬を膨らます古都がいた。
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