最後に初めまして。
俺達が見えなくなった頃百合さんが古都を見て微笑んだ。


『古都さんは大切にして貰ってるんですね。』

『すごく嬉しいんですけど…優しいと不安も大きくて…。』

『誰でもそうだと思いますわ。私だって…。ヒロ君達遊んでたから…。』

『私、登に押しかけたから迷惑じゃないかって。でも…今は目の前の登しか考えないようにしています。』

『古都さんはお強い方なんですね。』

『強くなんてありませんよ。ただ…他の事を考えてる余裕が…ないだけなんです。』

『そう…。あらっ、ヒロ君達戻って来たわ。』

『女性同士だけで、何話てんの?』

『それは…秘密ですわ。ねぇ~古都さん?』

『うん。女の子同士の秘密ですよぉ。』

「古都は秘密が好きだからなぁ~。それより花火でもやらない?」

『やりますぅ~。』


俺は部屋に戻り買い込んで来た大量の花火を持って降りて来た。


『準備いいじゃん。』

「ヒロの事だからどうせ何も考えてないだろうって思ってな。」

『流石、冷静沈着な登だな。良く分かってる。』

「古都、風上こっちだから向う側にいろよ。」

『はい。そうします。』

『登君…さっきの言葉に優しいを加えてあげようじゃないか。』

「それはそれは光栄な事を…――。」

『古都ちゃんだけにってなぁ~。』

「一言多いだろ!」


俺は少し照れくさそうに打ち上げ花火に火を点けていた。
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