最後に初めまして。
花火も終わり後片付けも済み、コーヒーを飲んで寛いでいた。


『登、疲れた?』

「ああ…。少しな。」

『だったら部屋に行って横になる?』

「そうだな…。悪いヒロ先に寝るわ。」

『一人で運転してたからな…お疲れ。』

『おやすみなさい。』

『ヒロさん百合さんおやすみなさい。』


俺は部屋に入り先にシャワーを浴びさせて貰って出て来ると落ち着かない様子の古都がいた。


「さっぱりした。古都も入れば?」

『あっ、うん…。』


初めて男と泊る訳だから緊張するのは分かるけれど…。

俺はカバンの中から読みかけの小説を取り出し布団の中に潜り込んだ。

窓を開け煙草を吸いながら眠るまでの間、本を読んでいるこの空気の流れが好きだった。

こんな時間を過ごすのは久し振りだな。


『何見てるの?』


風呂から出て来た古都がパジャマのままベッドの上にのし掛かって来た。
こう言う所が古都の不思議な一面でもある。

さっきまではあんなに意識していたはずなのに…。


『あっ、私もその本持ってる。その作家面白いでしょ?』

「小説好きなのか?」

『人より時間あったから知らないうちに好きなってたの。』

「そっか…。さてそろそろ寝るか。電気消すぞ。古都、おやすみ。」

『おやすみなさい。』


電気を消すと月明りがカーテンの隙間から入込む中、それぞれのベッドで眠りに着こうとしていた。
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