最後に初めまして。
俺達が週末に必ず顔を出す店は繁華街の外れにあるバー“lonely”。

お洒落な店内に無口なマスター、尻の青い子供（ガキ）は少なく、淋しがり屋の大人達で賑わう店だ。

ＢＧＭはテンポの早い曲が多く、俺の趣味じゃないがここで飲むバーボンの味が、嫌いじゃないので通っている。

店内に入ると俺達はいつも通り、カウンターを陣取る。


「バーボンロックで二つ。」


差し出されたグラスの氷をゆっくり揺らしながら口を付ける。

ヒロはいつもの様に後を振向き、店内を見回し女性を物色していた。


『なあ、あの二人組どう思うよ？』

「別にいいんじゃない？」


そう、俺は誰でも良かった。
ぽっかりと心に空いた孤独感を埋められさえすれば、相手が誰だろうと良かったからである。

忌わしい過去を一時でも忘れる為に、俺は今ここにいるのだから。


『なら、ちょっと行って来るな。』

ヒロはグラスのバーボンを飲干し、席を立った。
これが俺達のこの店でのいつもの光景だ。

マスターと目が合い、どちらともなく会話を始める。

少し経つと背後から視線を感じる。


『こんばんわ。』


後を振り返るとヒロと、さっきの二人組が立っていた。

相変わらず鮮やかな仕事をする。

確かにヒロは顔だけならその辺の有名人に負けない程のイケメンとは言われてはいるが…。
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