最後に初めまして。
周りは暗闇で覆われていつしか古都の後ろ姿も周りに溶け込んでいた。

俺はただやみくもに古都の走り去った方向に向って探していた。


「古都ぉーっ。どこだぁー。ハァハァ…。」

「こうも暗いと何も見えないな…。クソっ。」


雨音だけが響き渡るこの暗闇の世界で古都は今一人で何を考えているのだろう?

早く見付けなくてはこの雨とまだ5月の山の気温は古都の体に影響を与えるかもしれない…。

どれぐらい歩き回っただろう…。
今俺は何処にいる?

ヤバいな…。

そう思った時人影を見つけ駆寄った。


「古都…。ごめんな。さぁ、別荘に帰ろう。」

『…嫌。登は私に優しくしてくれたのは…体が悪いからなの?』

「違うよ。俺…――。」

『きゃっ。』

「古都ぉーっ。」

ズルッ…ザザザ-ッ…


滑り落ちる古都の体を俺はキツく抱きしめ体を地面に預けた…。


『――…る?登起きて!うっ…うっ…のぼる。』

「こ、古都?怪我はないか?大丈夫か?」

『登ぅー。うわああん…。』


泣きながら抱き付いてくる古都を包む様に抱きしめ俺は周りを見渡した。

あそこから落ちたのか?

高さ10m程の斜面から滑り落ちた古都と俺。
幸いにも古都は無傷で済んだみたいだ。


「さぁ、帰ろうか?立てるか?――…痛ッ。」


最悪な事に俺は足を挫いてしまっていた。
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