最後に初めまして。
この足で古都を連れて斜面を登のは無理だな。

携帯も置いて来てしまったし…。
何か方法はないのか?


『うっ…ぐすん。私…助け…を呼んで…くる。』

「古都、ここが何処ら辺なのか分かるのか?」


古都は周りを見渡した後に首を振っていた。

俺でさえ今何処にいるのか検討もつかない。
かと言って暗闇の雨の中ヒロ達が気付くとは思えない。


「取りあえず歩くぞ。」


古都は自ら俺の腕を首に回し肩を貸してくれた。


「…ありがとな。」


黙って微笑むだけの古都の顔には元気がなく体に影響が出始めた事は俺にでも分かった。

片足を引きずる様に歩いていると大きな横穴を見付けた。

中は結構広く5m程奥まで続いていた。


「仕方がないな。この中で夜が明けるまで待つ事にしよう。」


古都は小刻みに震えていた。
何時間も雨に打たれ吐く息が白く見える程気温も下がって来ている。

俺は周りから木々を拾い集めポケットから煙草とライターを出した。


「煙草は濡れてダメか。チッ、湿ってなかなかつかないな…。」


何とか火を起して古都を焚火の前に連れて来た。
古都の体はまるで氷の様に冷たくなっていて、唇や顔からも体温が下がっている事が分かった。

ヤバいな…何とかしなくては。


『古都…服を脱げ。』


俺の言葉に事は驚き黙って俯いていた。
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