最後に初めまして。
古都は俺の傷跡を指で優しくなぞっていた。
不意に優しく傷跡にキスをしたり…。

俺は古都を抱きしめ半乾きのシャツを肩にかけやり静かに息を殺して話続けていた。


「俺は古都を守りたいんだ。今まで自分だけを守って来た。だから…。」

『でも…私は…。』

「分かっている。でも何もしないよりマシだろ?今のこの状態と同じ。俺は最後までわるあがきをするって決めた。」

『また…傷付く…。』

「かもね…。でも何もしなければもっと後悔するはず。今日それが分かった。水族館からずっと後悔してたから…。」

『私…登の気持ちに答えれないかも知れないんだよ。そんなの…。』

「俺は…待つよ。いつまでも古都のタメなら。離れて居てもきっとまた逢えるはずだから…。」


古都は急に黙って俺の唇に指で優しく触れた。

そしてゆっくりと長くて甘いキスをしていた。

この時間がいつまでも止まってくれないかと願う様に俺と古都は沢山のキスで気持ちをつないでいた。


いつしか焚火も消えていて、周りの景色がほんのりと色彩を取り戻し始めていた頃、俺達は目が覚めた。

知らないうちに俺も古都も優しさに包まれて眠っていた。

俺は古都の顔色を確かめ安堵の表現を浮かべていると古都が頬染めてキスをした。


『おはよう。』


そのたわいもないたった一言がとても嬉しくて仕方がなかった。

俺達は服を着てここから移動する事を決めた。
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