最後に初めまして。

告 白

泣いているだけで答えない古都に俺はそれ以上聞く事が出来なかった。

不安を現実の物にするのが怖かったからだ。

そんな空気を変えるかの様に声が聞こえた。


『お邪魔してもよろしいかしら?』


そこにいたのはまぎれもなく薫だった。


『何驚いた顔してるのよ。昔の男のお見舞いに来ちゃ悪い?』

「いや…そんな事…。』

『この人が古都さん?初めまして薫です。登とは今はただの友達だから安心してね。』


そう言って薫は古都に笑みを見せイスに座った。
死にそうな俺の顔を見に来たと言う彼女は古都が入れたコーヒーを美味しそうな顔をして飲んでいた。

古都が気を使い部屋を出る時に化粧を直すと言って薫も部屋を出た。

俺は薫の行動が気になって仕方がなかった。


『古都さん?少し時間頂ける?』


薫は古都に声をかけ誰もいない病院の屋上に誘った。

先に口を開いたのは古都だった。


『あの…何かご用ですか?』

『貴女の気持ちを確かめときたくてね。』

『私の気持ちですか?』

『貴女…登に本気で惚れてるのかしら?』

『どう言う意味です?』

『そのままの意味よ。登に何を求めてるの?貴女は何を与えれるの?』

『私は登に何も求めてなんていません。与えれる物なんてあるんでしょうか?』

古都は薫を見つめ強い口調で言い放った。
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