となりの彼女
「俺は神谷真悟。隣の机だし、なんかあったら言って」
と今度は無事に名刺を渡す。
「ありがとうございます」
にこりと朝塚は微笑んだ。
外見から見るとサッパリしたスポーツ少女に見えるが、中身は穏やか文系少女、ときたとこかな。
声が比較的優しくてゆっくりなせいもあるかも知れない。
そんな時ふと時計を見ると12時30分。あと昼休みが30分しかない。
朝塚に話かけまくっている山下に声をかけ、軽く会釈をして俺達は急いでエレベーターに乗った。
・・・しばらく乗っていると山下が突然口を開いた。
「美咲ちゃん、だっけ?かあいー娘だったね」
・・・こいつ。
山下の言葉に俺の大きなため息が小さな密室に響く。
「お前まだ懲りてないのか?いい加減にしとけよ」
「俺が何に懲りるって言うの?」
「・・・お前なっ」
ポーン。
俺が叫ぼうとした瞬間エレベータのドアが開いた。
俺はまた深いため息をつく。
「何さ」
「いや、別に」
こいつの難癖はきっと治んねーな、きっと。