さよならとその向こう側
それからベッドで二人寄り添う。


意識がはっきりと戻ってきた頃ふと思った。


「実、シャワー浴びてく?」

「うん、お願い。」


そう答えながら私を抱き締めて離そうとしない。


「…ねぇ、動けないよ。お風呂のお湯溜めてくるから…。」


次の言葉が出て来なかった。

"離して"

深刻な意味じゃなくても、私達の間で使いたくない言葉だから。


そんな私の気持ちを察したのか、実は寂しそうな顔で腕を緩めた。



だから、あえてにっこり笑いながら言ったの。



「すぐ来るから、待ってて。」


ベッドを出て、下着と部屋着を身に付けバスルームへ向かった。


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