さよならとその向こう側
蛇口をひねって温度を確かめてからお湯を溜める。


そんな作業をしながら…気になった。


鏡の前に立ち、服を捲って確認する。



…やっぱり。



恋人だった時は、こんな物付けなかった。

だけどあの日以来、身体を重ねる度に、実は赤い印を私の体に残していく。


服を着ていれば見えない様な場所だから構わないけれど。




ねぇ実。

貴方が切り出したはずのあの日のさよならは、本当にあれで良かったの?


元の恋人に戻りたいと願っているのは、私だけじゃないよね?


このキスマークは、実の気持ちの現れ…だよね?



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