さよならとその向こう側
何分位そうしていたのだろう?
「…やか、…彩夏?」
実に呼ばれて、慌ててバスルームを出た。
……実。
誰と話していたの?
そう聞きたいけど、話を切り出して、それが別れに繋がるかもしれない……。
そう思うと、躊躇してしまう。
「彩夏、ごめん。」
実はそう言って、私を正面から包み込む様に抱き締めた。
「…なに…が?」
不安で鼓動が激しくなる。
聞きたくない。
聞きたくないけど……受け入れなくちゃ駄目なの?
涙が溢れてくるのを、我慢出来なかった。
だから、見られない様に実の胸に顔を埋めた。