さよならとその向こう側
その夜、ただ実さんの声が聞きたくて電話をかけた。


「こんな遅くにごめんなさい。」

「いえ、気にしないで下さい。」


だけどそう言った実さんの後ろからは、水の音が聞こえた。


浴槽にお湯を溜めてる?

今からお風呂だった?


「あの、今からお風呂だったの?水の音がしてるけど。」


何気なく尋ねた。


「え?…ええ、まあ…。」

でも、なんだか歯切れの悪い答えが返ってきて。

実さんが曖昧な返事をするなんて珍しい。




疲れてるのかな…?


それなのに私ったら、こんな時間に電話したりして。

迷惑だった?


なんだか悪い事をした様に思えてきた。


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