さよならとその向こう側

「綾さん?私が誘っておいて申し訳ないですが、もう夜も遅いです。……送りますので、今夜は一度帰りましょう?」


黙り込んでしまった私を心配して、実さんが話かけて来た。

確かに腕時計を見ると午前2時を回っている。


「でも、話はまだ終わってませんよね?」

実さんを見つめながら呟いた。



「……綾さん…。」

"どうか分かって下さい。"

実さんはそんな表情をしていた。



でも、そんな事気付かない振りをするの。

あなたは誰にも渡さない。

そして私は実さんの側に行き、無理矢理その首に両腕を絡め……実さんの唇に自分の唇を押し付けた。



< 125 / 403 >

この作品をシェア

pagetop