さよならとその向こう側
「綾さん?私が誘っておいて申し訳ないですが、もう夜も遅いです。……送りますので、今夜は一度帰りましょう?」
黙り込んでしまった私を心配して、実さんが話かけて来た。
確かに腕時計を見ると午前2時を回っている。
「でも、話はまだ終わってませんよね?」
実さんを見つめながら呟いた。
「……綾さん…。」
"どうか分かって下さい。"
実さんはそんな表情をしていた。
でも、そんな事気付かない振りをするの。
あなたは誰にも渡さない。
そして私は実さんの側に行き、無理矢理その首に両腕を絡め……実さんの唇に自分の唇を押し付けた。