さよならとその向こう側
やりきれない気持ちを抱えたまま駅に向かっていた。

――だけど。


ふと、目に入ってきた。



クリスマスを全面に押し出したディスプレイの中に、シンプルだけど光輝くダイヤモンドをあしらったリングが飾られていた。


そして、その隣にフォトフレームが飾ってあり、中には抱き合う男女のシルエットと輝くリングの写真。

"恋人達のクリスマス"

の文字が刻まれていた。


女性が好みそうなジュエリーショップ。

普段なら決して立ち寄る事の無い店内に、吸い寄せられる様に入って行った。





――彩夏にクリスマスプレゼントを買う為に。


二年付き合っていたけど、指輪をプレゼントした事など一度も無かった。


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