さよならとその向こう側
長い沈黙を破って、教授が話し始めた。



「そうか。では、私の心配は取り越し苦労だったか。水嶋君は、母親の事には関わって無かったのか。」


そう、ため息にも似た小さな声で呟いた。



「いえ、まだ確認していません。彼女には、これから聞こうと思っています。」

「神田君!?どういう事だ!?では、君はまさか…大学を辞めるつもりなのか?」



「はい。」



教授は予想外だと言わんばかりに驚いてみせた。


だが私は、綾さんを傷つけ、教授を裏切ってしまった。

それは紛れも無い事実だ。


彩夏が事件に関わりが有ろうが無かろうが、私は大学を去るべきだろう。



それから、二人で新しい生活を見つけよう。

そう決めていた。



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