さよならとその向こう側
「神田君。考え直す気は気はないのかい?彼女がもし母親をかばい続けていたらどうするつもりなんだ?」


「その時は、なんとか止める様に説得しますが。・・・そんな風には思えないんです。彼女は、私と結婚の話をしても一度も困った態度は見せませんでした。嬉しそうに将来の話をしていた彼女に、そんな後ろめたい事が有るとは思えないんです。」



「・・・・・・。」


「こんな気持ちのまま綾さんとお付き合いしていても、私は綾さんを幸せには出来ません。それに、佐和田教授との約束も裏切った事になります。ですから、大学も」

「そんなに・・・。」


「え?」

「そんなに、水嶋君が大事なのか?自分の将来を捨てる事になるかもしれんのに?」


教授は思い詰めた顔で尋ねてきた。


確かに教授の言う通りだと思う。

だからこそ、一度は、自分の将来の為に彩夏と別れた。


でも、別れたからこそ間違いに気が付いたんだ。

彩夏でなければ駄目なんだという事に。



< 154 / 403 >

この作品をシェア

pagetop