さよならとその向こう側



「彼女と一緒なら、大丈夫です。」






それが、答えだった。



この大学である程度研究が認められて、将来も有望だった。

だけど、彩夏がいてくれないなら、何もこの大学に拘らなくてもいい。

違う場所でも、大学の研究室でなくても、夢は叶うはずなんだ。



考えが甘いんじゃないかとか、自分なりに色々悩んだ。

でも、今、大事な彩夏を失うくらいなら、甘くてもいいじゃないか。

他の人じゃ駄目なんだ。


綾さんに告白されても、付き合ってみても、一緒にいても、全く心が揺れなかった。

考えるのは彩夏の事ばかりで、会いたいのは、話がしたいのは、抱きしめたいのは、キスしたいのは・・・。




―――全部彩夏だった。




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