さよならとその向こう側
『すまなかった、神田君。
私は、大事な一人娘が・・・綾が君を気に入ってくれた事が嬉しかったんだ。私自身が認めている君となら、結婚してもきっと上手くいくはずだと、綾の気持ちしか考えていなかった。』
『そんな!!謝らないで下さい。私こそ”前向きに考えます”等と教授に申し上げておきながら・・・。』
『いや、そう言わせたのは私だ。神田君は悪くはないさ。
しかし、綾にはもう伝えてあるのか?最近、綾の様子がおかしくてな、君と喧嘩でもしたのかと余り深くは考えて無かったのだが。』
『・・・はい。』
『もう、伝えてあるのですが・・・。』
『そうか。』
『教授、実は・・・綾さんには納得して貰っていません。忘れられない女性がいると伝えたのですが。』
『そうだろうな、毎日君の車で帰って来ている様だし。おおかた、君の帰りをどこかで待っていて困らせたりしてるのだろうな・・・。ただ、私はそれがただの喧嘩だとばかり思っていたが。
悪いな神田君。ついつい甘やかしてしまって、わがままに育ってしまったのかもしれん。
綾には、私からも、諦める様に伝えておく。』