さよならとその向こう側
昼休みになったので、私達は大学内のカフェテリアを避けて、近所にある喫茶店まで足を延ばした。


"誰かに聞かれたら困る"

私も志乃もそう思ったから。





「さっきはごめんね。」


一通り注文が終わって、一息つくと志乃が言った。


「ううん。謝らないでいいから、詳しく聞かせて?」


"何かの間違いのはず"

そう思っていても、水を持つ手は震えてしまう。

心臓が必要以上に大きな音を立ててドキンドキンいっている。



「彩夏、大丈夫?」

そんな私を見て、志乃は心配そうに尋ねてくる。


「うん。平気だから。」


だから、教えて!!


早くこの居たたまれない空気から抜け出したいから。

きっと『なんだ。』って笑い飛ばせる程下らない話のはずだよね?




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